ジャカルタ生活 緑色のお菓子の味、パンダンリーフとは?

ジャカルタ生活

※2025年10月6日時点

インドネシアでよく目にする緑色のお菓子っぽいもの

インドネシアでよく目にする伝統的なお菓子には、必ずと言っていいほど緑色のものが混じっている。例えばこちら。

セラビというパンケーキに似たインドネシアのお菓子。緑色の味がパンダン味で、ココナッツミルクの香りもするもちっとしたお菓子。

このお菓子は、米粉、ココナッツミルク、塩を基本にしたセラビ”Serabi または Surabi”と呼ばれるもの。ココナッツ風味のもちっとしたパンケーキのようなイメージ。チョコレート味、チーズ味などの中に混ざっている緑色の味。

Kue Ape サルのケーキという意味のクエアペ。路上の屋台などでよく売られている、カリカリのお菓子。緑色の味がパンダン。

こちらは路上などでよく売られているクエアペ”Kue Ape(サルのケーキ)”。小麦粉と牛乳の入ったパンケーキのようなお菓子で、真ん中がもちっとして、外側は薄くカリカリしているのが特徴。写真右側のものがオリジナルの味で左側が緑色のクエアペ。
ちなみに別名でジャカルタセラビとも呼ばれている。
我が子達はこのお菓子をパリパリ食べるのが大好き。

この緑色のお菓子、ジャカルタで生活していると本当に良く目につく。
この緑は、合成着色料などではなく、パンダン”Pandan”と呼ばれる植物から生まれる色。
パンダンそのものを料理工程に入れたり、パンダンから抽出した香料を使うことでこの色と、独特の風味が生まれる。
実は、パンダンは”東洋のバニラ”とも呼ばれる。そのくらい、東南アジア地域では料理に頻繁に用いられているそう。著者はインドネシアに来るまで存在自体を知らなかった。

屋台で売られている珍ちゃうひじやう。緑色のジュースのようなゼリーのような食べ物。

ちなみに同じ緑色でもこちらはパンダン由来ではない!
ジュースのような、ゼリーのような見た目のこれはチンチャウヒジャウ”Cincau Hijau”と呼ばれるまさにゼリーに似たお菓子。パンダンとは異なる(緑の)バルバタ”Cyclea barbata”と呼ばれる植物から作られるそう。
著者も今度、勇気を出して食べてみようと思う。

パンダンリーフとは

パンダンリーフの写真。緑色の細長い葉っぱでニラをもっと大きくしたような見た目。束ねられて売られていることが多い。

パンダンリーフとは、東南アジアでよく育つ緑色の細長い葉っぱのこと。ドリアンに似たトゲトゲの実をつける植物で、その葉っぱがスーパーでは、写真のように束ねられて売られていることが多い。料理の風味付けに用いられることから、”東洋のバニラ”とも呼ばれる。パンダンの葉の成分だけを抽出したバニラエッセンスならぬ、パンダンエッセンスなどもお店で売られている。
食品だけではなく、石鹸や香水などとしても使われることがある。

値段は1束数十円。ジャカルタ、日本人御用達スーパー、パパイヤでこちらの束は4.000Rp程度であった。同じくジャカルタにあるスーパー、グランドラッキーでは1㎏18.900Rpで売られており、実際に数枚程度を量り売りで購入したところ1.400Rp。ものすごく安かった。

パンダンとの出会い

実は著者、ジャカルタ生活が始まってから、インドネシア料理にはどんどん挑戦していったものの、この緑色のお菓子は長い間、嫌煙していた。日本では抹茶風味のものは緑色だが、抹茶とは全く思えず、正直に言うと、「合成着色料でわざわざ色を付けるにしても、あえて緑色にしなくても良いのでは…?なんでインドネシア人は緑色にするんだろう?」などと全くもって失礼なことを思っていた。

それがある日突然、友人からお土産として、パンダンシフォンケーキをもらってしまう。
その友人は薄味健康志向、美味しいレストランを知り尽くしているママで、下手なものを渡してくるはずがない。でも緑……

いざ、とシフォンケーキを切って食べてみると、ふんわり変わった良い香りがする。味も甘さ控えめでちょうど良いふわふわ感。一言でいうと、美味しい!
ここで著者のパンダンに対するイメージががらりと変わった。
普通に美味しい。
その後、同じ友人の家でパンダンを使った料理、ナシルマク”Nasi Lemak”を食べさせてもらい、完全にパンダンにひれ伏した。

絶対に食べたくない緑色のよく分からない謎のお菓子は、バニラの方が食べなれてはいるものの、パンダン味もたまにはありかな、というところまで昇格。そのママに、正直に感想を伝えたところ、大笑いされたが、喜んでもらえた。

パンダンリーフを使ってみた

パンダンとの出会いの後、シンガポールに旅行に行った先で食べたカヤジャムにもパンダンが使われていることを知る。材料はインドネシアで手に入れやすいものばかり。せっかくなので自分でもカヤジャムを作ってみようと思い立ち、パンダンリーフを購入するに至る。
パンダンリーフを使ってみた感想をそれぞれご紹介。

カヤジャム

パンダンリーフを洗って縛った状態にした写真。折り曲げた際にできた傷からパンダンの豊かな香りがする。

先の写真の細長い葉っぱの状態で売られているパンダンリーフを、洗った後、端を少し切り落としてぐるっと結ぶとこのような写真の状態。この葉をココナッツミルク、卵、砂糖をよく混ぜたものにそっと入れ、煮込むようにしてカヤジャムが完成する。
※カヤジャムを作る一連の流れをまとめたものは別の記事にて。

出来上がったのが、これ。
ほんのり緑がかった色合いで、トロっとしている。このとろみを出すのに格闘したのはまた別の話。
焼いたパンにのせて食べてみたところ、お店で食べるよりもパンダンの風味がしっかり出ていて、普通のジャムとは全く異なるジャムになった。
パンダン自体にはあまり味はないのだと思うが、とにかく香りが強い。ココナッツミルクの濃厚さも加わり、美味しいクリームのような印象。

緑っぽさの残る黄みがかった色の瓶に詰められたカヤジャム。見た目はクリームのよう。

完成後、夫と子供が毎日のようにこのジャムをパンに塗って食べ続け、わずか数日で無くなる。
とても簡単にできるし、子供たちも好きになってくれたので、インドネシアにいる間は、フルーツのジャムとこのカヤジャムを2種使いしてもいいなと感じている。

ナシルマク

もう一つ、パンダンリーフを使って作ってみたのが、こちらのナシルマク”Nasi Lemak”。ナシレマ、ナシレマクとも呼ばれるマレーシア発祥の料理。

ご飯を炊くときに、ココナッツミルクとパンダンリーフを一緒に入れて炊く。
オーブンで焼いた鶏肉に、カリカリにローストしたジャコとピーナッツ、辛みのあるサンバルを添えて食べる。食べるときはジャコとサンバルをがっつり混ぜ合わせて食べるのがおすすめ。
このサンバルが魚の苦みを効かせたオツな味で、本当に美味しい。
このサンバルの作り方もいつか別の記事で紹介したい。

おわりに

インドネシアでよく目にするパンダンリーフ。お菓子やカヤジャム、料理にと幅広く使われており、自分でも料理に使ってみることで、それだけ使われる理由が、この葉っぱの豊かな風味にあるのだなと実感。今後もカヤジャムは定期的に作ろうと思っている。

このパンダン、豊かな風味だけではなく、クロロフィル(葉緑素)という成分が多く含まれているため、抗酸化作用、抗菌作用、消臭効果もあるとのこと。

あるインドネシア人ママの車に乗せてもらったときの話。座席の下にパンダンの束が転がっている!著者は思わず
「買い物袋から転がって落ちたんじゃない?忘れていない?」
と焦ってしまったが、”わざと”置いているとのことでした。なるほど~。

せっかくパンダンが身近にある環境なので、今後もお世話になっていこうと思う。

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